今日は、前回(11月28日)の続きで、フローベールの『感情教育』のお話です。文章の魅力、なかでも、「吸い込む」「とろける」といった感覚的な表現の豊かさ、自由間接話法の自在な活用の効果(語り手の視点と登場人物の視点の双方をいいとこどりした叙述法で、読み手の私たちは双方の視点を一点に総合できると思います)などを、具体例に基づいて説明しました。さらに、石井洋二郎先生や小倉孝誠先生の本を参照させていただきながら、ブルデューのパリ階層地図なども参考にしつつ、夜のポン・ヌフのまんなかあたりで昂揚するフレデリックのシーンの象徴的読解を試みました。今日も話の途中で残念ながら時間が来てしまいましたので、来週(年内ラスト)も、前回と今回お配りしたプリントを忘れずにお持ちくださいませ。