今日は、「序説」第二段落の終わり(p. 1156の2行目)まで、読みました。「われわれ(nous)」を語りの人称として用いて一般的な地平を述べた第一段落からは一転、今度は、「わたし(je)」を語りの人称として、「ある人間」を想像する試みが始まります。本文にはまだレオナルド・ダ・ヴィンチという名前は登場しませんが、脚注にその名前が初めて現れます。引用されているダ・ヴィンチの銘句「飽くなき厳密」は、若い頃のヴァレリー自身にとってのそれでもありました。「彼は〜である」「彼は〜する」という文を次々と列挙していく文体には、ダ・ヴィンチ手稿を読むヴァレリーの経験が凝縮されているようです。では、また次回。