今日は、ロマン主義演劇のマニフェストとして名高い、ユゴーの『エルナニ』の冒頭部(第一幕第一場)をじっくりと読み、古典主義の作劇法や詩法にどのように違反しているのか、ということを確認しました。この冒頭部は喜劇的な要素が多く、今読んでも十分に楽しめます。これにひかれて、どんどん先を読みたくなるでしょう。恋愛、嫉妬、反逆、崇高、貴族の信念などなど、いろいろなテーマが力強く錯綜していて、面白い作品です。これまでは主に韻文詩(劇を含む)を読んできたので、次回は散文、特に小説として外せない傑作――シャトーブリアンの『ルネ』とコンスタンの『アドルフ』――を紹介する予定です。また来週。