今日は、ヴァレリーの1935年の講演「芸術についての考察」を、ついに読み終えました。最後の質疑応答のところは、作家と享受者との関係を「伝達」という側面から重視するバイエール氏の意見と、作家と作品、作品と享受者という独立した二つの関係を(おそらくは「効果」の観点から)重視する(作家と享受者という関係は無視する)ヴァレリーの意見と、お互い相容れないコントラストが明快でした。ヴァレリーの芸術論のうちに、エドガー・ポーに淵源する効果理論の原理的完成を見る思いがします。さて、この授業も1月の三回を残すのみとなりました。今日読んだところにも出てきた1928年のやはりフランス哲学協会での講演「芸術的創造」を集中的に読もうと思います。プリントをお配りしました。冬休みのあいだにひととおり読んでおいてくだされば幸いです。では、よい年末年始を!