今日は、第47番「マドモワゼル・ビストゥーリ」の読みに入り、54行目まで進みました。冒頭の「フォブールの端で」「ガス灯の明かりの下で」という表現にずいぶん立ち止まってしまいましたが、この冒頭は本当に見事な書きぶりです。冬の夜の、パリの場末。faufourgは街の外れ、元々は城壁の市門の外を意味し、都市の外れ、日常と非日常の境界線、正常と狂気のあわいの特権的な空間。そんな場末のさらに端っこに点るガス灯の明かり。一本の腕がすうっと近寄り、ひとつの声が耳元にささやく。これ以上ないような、ぞくぞくするような、奇談の冒頭ではないでしょうか。この47番には、一応、関連するアンテルテクストがあるようです(影響関係を云々するのはどうやら厄介なようですが)。次回はそれを少しだけ紹介しつつ、先を読みたいと思います。予習をどうぞよろしく。
 授業の終わりにちょっとだけ言いましたが、来年、卒論を提出する学生さんたちに一言。この2月と3月の休みで、卒論で扱う(かもしれない)テクストをしっかり読んでおいてほしい、というか、せめて、卒論の下準備を意識的に始めて(あれこれ読んで、関心の領域を絞り込む努力をして)いただきたい。就職活動を不勉強の口実に使わないでいただきたい。まっとうな卒論を書く人は、就職活動もしっかりやりつつ、勉強を忘れていない、という印象を経験的に持ちます。与えられた時間は、かなり有限です。現実的に、自己に厳しくなっていただきたい。というような、オッサンの愚痴をこぼしました。意を汲み取っていただければ幸いです。