今日は『海辺の墓地』の第16詩節を読み、ローラーさんの注釈を精読しました。注釈を一字一句ゆるがせにせず、その意味するところを十分に考えながら、注釈者の思考に寄り添ってみる、という経験もなかなか重要で、着実な読解共有感覚を味わうことができると思います。前期は、やや先を急ぎがちのところがありましたけれども、後期は、意識的にゆっくりと読んでいます。このペースでいいでしょう。今日読んだ16は、ローラーさんも言うように、『海辺の墓地』という長い詩篇の中で、最もエピソード性の高い部分、というか、艶のある部分です。しかし、それは最初の5行分であって、最後の1行が頂門の一針のように強烈に効いて、先行する5行分の官能の思い出と対峙します。そのバランスが絶妙です。来週は17、18。やはりローラーさんの注釈にじっくり付き合ってみましょう。