今日は第12番「群衆」の最終パラグラフを読み終えてから、第13番「寡婦たち」に入り、p.130の7行目まで(全体の32行目まで)読みました。列挙のもたらす効果を味わうために、少し立ち止まってみました。第一段落ではparが五つ出てきますが、似たような表現が繰り出されてくると、読むほうとしては、その「繰り出し」のリズムに取り込まれて、まるで催眠術にかかるかのように、ボードレールワールドに誘い込まれていきます。p.128の第三段落でも、dans cesの反復が四回、「伝説」にかかるdeの列挙が五回あって、まるで、薄暗い公園の片隅に、打ちひしがれた様子でたたずむアノ人やコノ人の姿が次々と眼に浮かぶようではありませんか。今日のラストに読んだところ、全体の31行目と32行目は残酷なまでに鋭い観察、ボードレール節炸裂という感じの部分です(「貧乏人は喪の苦しみですらけちけちせざるを得ないが、金持ちは自らの苦しみを完全に着飾ることができる」)。来週は、残りの部分を読みます。「寡婦たち」のあとは、やはり、短編小説的な味わいのあるものを読んでみたいと思います。