今日は第15詩節を読みました。13、14と、難解で、イメージしにくい部分が続いたせいか、この詩節は、具体的で、わかりやすく、また哀切な調子もあって、ノリよく読めました。死と生の間で、血/赤/エネルギーが移動した感じ、生命が花のほうに移っていった感じが、よく出ていて、さらに、ヴィヨンの「去年の雪、今いずこ」以来伝統的な哀惜の問いかけがあり、最後にとどめをさすようにして、メメントモリーの眼の空洞を這う霊的蛆虫と、かつてそこに形作られたはずの涙のイメージが重なって、ハードボイルド調の余韻を残します。この第15詩節は、ひょっとすると、通俗的かもしれませんが、しかし、味わい深いところです。次回は、16以降を読みます。16はヴァレリー自身の朗読を録音テープで聞きましたけれど、どことなく、熱の籠もった、切ない勢い、とでもいったようなものがちょっとだけ弾けている、そんな(よくわかりませんよね)印象を受けました。ひきつづきローラーさんの注釈を丁寧に読んでまいりましょう。