今日は、スタンダール赤と黒』から三つの場面を取り上げて、読解を試みました。ナポレオン主義者の若きジュリアンは一方でルソーの申し子でもあり、征服者のエネルギーと共に、平等主義的・共和主義的・革命思想をも備えた青年として造形されています。前回のゴーチエの『ロマン主義の歴史』や、前々回のコンスタンの『アドルフ』に見えた、アンシャンレジーム的古典主義と革命的ロマン主義の対立図式が、ジュリアンの物語でも、ところどころ反復されていました。心理分析小説であると同時に政治社会小説でもある『赤と黒』は文化史的小説でもあると言えるようです。次回はバルザックゴリオ爺さん』を読みます。プリントを配付しました。予習をどうぞよろしく。