今日は、ヴァレリーの1932年のマネ展カタログ序文「マネの勝利」の続きを、p. 1354の一番下まで、読みました。ボードレールとマネが、共に、近過去のロマン主義と近未来の写実主義の臨界点に位置した芸術家であり、二人の親近性はその臨界性にあり、二人の間には「ある深い照応」がある、というのがヴァレリーの見方です。「モデルヌ」についてのヴァレリーの定義は1919年の文明論「精神の危機」にも出てきます。また、目の補色効果になぞらえて、赤=ロマン主義が放蕩して疲労すると緑(青)=写実主義が療養としてやってくるという考え方は、ヴァレリーの文化史論においてよく見られる図式です。校務による二回連続の休講をお許しください。次回は少し先の11月21日になります。ボードレールの詩とマネの絵の照応については次回、実際を確認しましょう。では、また。