今日は、コンスタンの『アドルフ』について概略を説明したのち、全10章あるうちの第3章を全部(岩波文庫版で約10頁)を読んでみました。一読すると、これはロマン主義(アドルフ)が古典主義(エレノール)を征服する話ではないかと、思えるところもありますが、籠絡が段階を追って巧妙に進んでいる点は18世紀後半のラクロの『危険な関係』の世界を少し想起させます。アドルフによるとどめの手紙はルソーの『告白』と同じくレトリックが効いているように思います。次回はユゴーの『エルナニ』をめぐってゴーチエの文章『ロマンチスムの歴史』を読む予定です。プリントを配付しました。引き続き、予習をどうぞよろしく。