今日は、1932年のヴァレリーの評論「マネの勝利」に入り、p.1352の下から8行目まで、読みました。ジャルティ先生による解題(導入解説)も合わせて読みました。担当者の方に詳しい資料をご用意いただき、特に、本文冒頭の「寓意画」のモデルについて、ファンタン=ラトゥールやバジルの絵の具体的な例を挙げていただき、たいへんよく理解できました。私自身は、かなり古いところまで遡って、古典期のプッサンの「フローラの勝利」やブーシェの「ヴェニュスの勝利」をイメージしてしまっていたのですが、ここは19世紀の寓意画と理解するのが筋であると得心しました。この場を借りて御礼申し上げる次第です。なお、ジャルティ先生は、ヴァレリー批評が注文原稿の多さによる疲れからこの時期かなり「回避策」のほうに走っているということ、つまり、作品の徹底的な批評よりは、むしろ、栄光の理由説明(これは若い頃のレオナルド論では否定された批評の方法です)を求めてしまっているのではないかという点を強調しておられるようです。そのあたりの事情を割り引いても、このヴァレリーによるマネ論には再評価、再検討すべきところがあるように思われます。引き続き詳しく読んでまいりましょう。担当者の方、次回もどうぞよろしく。