今日は、コンスタンの『アドルフ』の第三章をすべて、読みました。エレノールへの愛が成就するところです。ルソーのテクストに見られたような、愛の絶対的幸福=人生の中の一瞬の光、という図式がここにも反復されています。しかし、コンスタンがこの小説で描き切るのは、むしろ、その一瞬の光のあとの「影」の部分、というか、切れない縁のようなものにダラダラと縛られ続ける煮え切らない男のリアルな姿です。この作品は現代でも人気の高い古典ですが、読者をひきつけるポイントはこの冷徹なリアリズムにあるようです。来週は、「愛の絶対的幸福=一瞬の光」を臆面もなく真正面から歌い上げているラマルチーヌの詩「湖」に触れる予定です。プリントを配りました。予習をよろしく。