今日は、先週に続いて、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』の第十章(最終章)を読みました。ルソーにおける自己形成の主題と、ヴァラン夫人との愛の幸福の主題という二つのテーマが対をなして交錯し、反復しながら出現するテクスト模様はまさしくソナタ形式そのものです。音楽家でもあったルソーの絶筆らしい、見事な芸術的構成と言えるでしょう。来週は、フランス革命期に青年期を過ごし、煮え切らない男の心理をこれでもかというくらい明晰に描き切った、奇妙に苦い「恋愛」小説、コンスタンの『アドルフ』を読む予定です。第三章のプリントを配りました。予習をどうぞよろしく。