今日は、フローベール感情教育』の続きです。石井洋二郎先生の文章の続きを紹介し、古くから安定して存在するポン・ヌフ橋の希望のイメージに対して、不安定な歴史をたどったコンコルド橋の不安のイメージもまた、フレデリックの心象風景の重要なトポスになっているという点を味わいました。『感情教育』は苦い幻滅の話ですが、表現の繊細微妙なリアリアティによって読者の想像力を強く刺激する名作だと思います。少し時間が残ったので、パリの話をちょっとだけしました。昔のシャルル5世の城壁の内側と外側で、道の名前が変わります。たとえば、壁の内ではリュ・サン・ドゥニですが、壁の外ではリュ・デュ・フォーブール・サン・ドゥニに変わります。「フォーブール」とは「街の外」という意味です。そのような場末のイメージのある「フォーブール」を歌った詩として、ボードレール「太陽」を紹介しているうちに時間となりました。年明けのこの授業は1月9日となります。それでは、みなさん、どうぞ、よい冬休みをお過ごしください。