今日は、ヴァレリーのデビュー評論「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説」のテキスト・クリティックの概観として、プレイヤード版の後注を参照しながら、初出や諸刊行本(実物)を紹介してみました。時間順に全部で六つの版があります。重要なのは、初出(1895年版)、第二版(1919年版)、クラ版(1931年版)ですが、クロノロジーに従って三つのテクストを時代順に並べたプレイヤード版(1957年版)も、現代の読者の定本になっているだけに重要です。プレイヤード版以前の読者は、「レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説」(1895年)よりも、最初に置かれた「注記と余談」(1919年)の影響を受けやすく、それは、たとえば小林秀雄においても言えるように思います。最後、少しだけ、本文の冒頭二文を読みました。非常に一般的な読書論を展開しているようです。これからじっくりと読み進めていきます。可能な範囲で、予習をどうぞよろしく。では、また来週。