今日は、スタンダールの『赤と黒』から、印象深い三つのシーンを選んで、原文の表現も味わいつつ、紹介してみました。前回読んだ『アドルフ』とはまた違った意味で、時代の鬱屈というものが、スーパーヒーロー・ジュリヤンのロマン主義的大活躍によって、かえって鮮明に浮き彫りになっている感じがします。スタンダールのじつに勢いのある文章は非常に魅力的です。『パルムの僧院』のほか、『リュシアン・ルーヴェン』や『アンリ・ブリュラールの生涯』など自伝ものも読みたくなってきます。