最終回の今日は、「ドガとフランス大革命」の章を終え、次の「話題いくつか」の章を読みました。後者は、前半部が「ムッシュー・アングル」の話、後半部がギュスターヴ・モローの話でした。empyree(最高天)の語源はギリシャ語のempurosで「火でできた」の意です。最高点は火=恒星の住まいというわけですが、本当にドガはそれを忘れていたのでしょうか……。empyreeの熱い空気が感じられる力作だ、とドガが言いたかったのだとすれば……などと、ちょっと考えてしまいました。モローについては、ヴァレリーの証言――ユイスマンスの『さかしま』に熱狂しモローの絵に期待していたヴァレリーが実際にモローの絵を見たら色あせた暗い感じで失望したという話――はなかなか興味深いものがありました。こうしてヴァレリーの珠玉のエッセー集『ドガ ダンス デッサン』から濃密な文章をゆっくり読んできましたが、いかがだったでしょう。息の長い、ニュアンスに富んだ文章にじっくりと親しむことで、文学テクストを読む面白さを感じてもらえたとしたら幸いです(感じてもらえなかったとしたら、残念……)。春休みは、興味のあるフランス語のテクストをどしどし読んで、いっそうの読解力を養ってくださいますよう。では、また新年度にお会いしましょう。