今日は、1926年のテクスト「ベルト・モリゾ」のp.1304の7行目まで、読みました。p.1303の下半分の部分は、純粋に見えているものを少しも見ず、自分にとって関心のある記号にすぐさまそれを変換してしまう人びとのことが語られていました。人は見えているものを見ず、考えるところのものしか見ない。これは、ヴァレリーの1895年のデビュー評論『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』のなかで既に「大部分の人は目で見るのではなく精神でものを見る[……]彼らは網膜によってよりも辞書によって知覚する」と言っていたことの繰り返しです。さらに1926年のテクストでは、ひとは未来と過去しか見ず、純粋な現在の瞬間の斑点を少しも見ないという、一種の時間論が付加されています。ne〜queという限定構文の表現形式が思想内容とよく一致していましたね。さて、年内はこれで終わりです。次回は、年明けの1月11日となります。どうぞ、よい年末年始をお過ごしください。