今日は、p.89の上から11行目まで、読みました。感覚そのものの分析に基づいて、心地よいものと美しいものの区別を主張するベネゼ氏と、一般的な経験に依拠し、できるだけ客観的な言葉を用いて芸術を考えようとするヴァレリーとで、議論は平行線をたどっているように思われます。続く、バイエール氏の発言の第一点目(第二点目は次回以降読みます)は、芸術史についての知識が作品享受において喜びをもたらす「美学的な喜び」というものがあるのではないか、という主張です。絵画についての説明書きは美的喜びにつながるはずだという考えですが、これも、眼の経験を何よりも重視するヴァレリーの根本的な考えと基本的に対立するものといえるでしょう。来週は宮下志朗先生の集中講義のため、次回は来来週となります。ようやくこの長い講演碌もゴールが見えてきました。それでは、また。