今日は、p.86の1行目まで、読みました。芸術教育においては、概念や知識の伝授よりも眼で実際に作品を見ることを重視すべきだという考え方が強調されていました。ブリュッセル美術館のある展示室で、眼を閉じてくるりと一回転して再び目を開け、トロピスム(向日性)の実験に使われるアメーバのように、自分をひきつける絵のほうへと寄っていくと、レンブラントルーベンスの絵を見学するのとはまた違った経験ができる、というところはなかなか印象的でした。また、最初の着想と、出来上がった作品とのあいだには大きな距離があるもので、作品の萌芽となった感情を作品制作の段階で深く変形することもあるのだ、と語られています。作品享受と作品制作の両面について、ヴァレリーの基本的な考え方がうかがえる部分でした。それでは、また来週。