今日は、p.1177の12行目まで、読みました。ルイ=ル=グラン高校を出ている秀才のドガが、家政婦のゾエが昏倒した時に基本的な応急処置などの知識がなくてただオロオロする様子を見て驚いたヴァレリーは、今もそうだが、学校教育は基本的な社会生活の作法だとか身体や感覚や自然に関わる基本知識を教えていない点で馬鹿げていると批判しています。そのあと、ドガの部屋のだらしない様子が語られています。un homme qui ne tient plus a rien qu'a la vie meme, et parce qu'on y tient malgre tout et malgre soi(p.1177の2〜4行目)については、on y tientのyは直前のa la vie memeを受けるとしたほうがよいようですね(指摘してくださった学生さんに感謝します)。つまり「生きることそのものにそれでも仕方なく執着しているので、〔だらだらと〕生きることそのものにしかもはやまったく関心を持たなくなってしまっている男」の家はこんな感じだとヴァレリーは描写しているわけです。老残のドガの投げやりな感じが鋭くスケッチされた一節でした。では、また来週。しぶとく予習を!