今日は、p.1176の真ん中少し上の et toujours serieux.まで、読みました。個性や時代の好みを追うのではなく、作品の完成をひたすら探究するという芸術道徳はヴァレリーにおいて一定して見られますが、その道徳をドガも共有しています。このあたりの話も現代芸術批判とつながります。そのあと、ヴァレリーは、ドガとの会食の様子を愛情深く追懐しています。ゾエが作る味気ない食事(それはドガの胃腸を気遣ったものでした)は、良き思い出のおかげで、もはや嫌いではないと思う、とヴァレリーがいうところはちょっと感動的です。また、ドガが差し出した固いタバコを掌でころがして柔らかくするヴァレリーの手の動作をじっと見つめるドガの姿の描写もまた印象的です。manoeuvreは語源的に手の仕事です。詩人ヴァレリーの言葉の使い方の美しさが堪能できる箇所といえましょう。少しずつペースを上げてまいります。どうぞ、しっかりと予習に励んでください。では、また来週。