今日は、p.1175の真ん中下、Rien de plus moderne.というところまで、読みました。ヴァレリーは、ドガの踊り子のデッサンが痛く気に入りますが、それを眺めていると、バーゼルの美術館にあるホルバインの手のデッサンを思い出す、と言い、そのホルバインのデッサンについて、かなり詳しく紹介しています。普通ならば、手の柔らかさや丸みを強調するところなのに、ホルバインはそうした常識に反する訓練をそのデッサンで行っているのではないかとヴァレリーは考えています。現代美術家のなかにもそうした訓練をする人はいるけれども、彼らは練習を作品と混同してしまっている、として、いつものヴァレリーの現代美術批判が始まります。「モデルヌ」はしばしば、ヴァレリーにとって批判の対象であることを頭に入れておくと、その美術批評を読むときのヒントになるかと思います。来週は休日。11月10日にお会いしましょう。しぶとく予習に励んでくださいますよう。