今日は、「芸術についての考察」の続き、p.75の6行目まで、読みました。文化が高度化し、社会が複雑化するにつれて、空間恐怖が装飾をうむというような自発的な創造だけでは足りなくなり、知性の大幅な介入が行われるようになります。芸術家自身も、詩人と実践家と批評家を同時に含む複雑な存在となります。たとえばインスピレーションのような自発的なもの、異質なもろもろの契機から出来上がる作品に、一貫した同質な価値をもたらそうとすると、芸術家は自分自身を模倣せざるをえなくなる、つまり、自分自身の知性を総動員して制作を行わねばならなくなりますし、作品の与える効果についても計算しなければならなくなります。ヴァレリーは、構成compositionというものについて、時間軸上の出来事の列挙再生ではないこと、また、プランにしたがったものではないことを述べ、構成とはマチエールとフォルムとの不可分性を要求し、時に実現するものだ、と述べています。「構成」はヴァレリーが芸術を語るときによく用いられるキーワードであることから、この部分の記述は参考になります。授業の終わりに授業評価アンケートを実施しました。来週で最終回となります。p.78の12行目まで読みます。