今日は、ロマン主義を古典主義との対比で図式化して説明したのち、代表的な抒情詩としてラマルチーヌの『瞑想詩集』から「みずうみ」という有名な詩を読んでみました。最後の祈願文の連続は、魂の昂揚を劇的に示した絶唱です。先週読んだルソーの「愛の幸福」を回顧したテクストと内容的に関連していて、比較的理解しやすかったのではないかと思います。もうひとつ、ロマン主義の歴史において画期的とされる、1830年のいわゆる「エルナニの戦い」を回想したゴーチエの文章を読みました。古典主義の詩学ロマン主義詩学の対立が、二つの文化の対立として、大きな争点になりえた時代への哀惜の念に満ちた、味わい深い文章です。「忍び/梯子で」の句またぎ(アンジャンブマン)の説明は面白かったですね。さて、駆け足でテクストを眺めてきたこの講義も、講義としては次回の『赤と黒』と『ゴリオ爺さん』の紹介で終わります。
 最終回7月21日は筆記試験、一発勝負です。改めてアナウンスをしておきます。中世から19世紀前半まで(この授業で扱った時代)のフランス文学のなかから作品をひとつ選んで(19世紀後半以降の作品は採点の対象としませんのでご注意ください!)、自分の面白いと感じたテーマを設定して、それについて論じる(B4答案用紙二枚=2000字〜2400字程度)、というものです。資料の持ち込みは不可です。ちゃんと作品を読んで、短い引用は記憶するか、内容を理解したうえで説明する準備をしておかないと書けません。どうか、納得のゆく準備をして、臨んでくださいますように。