今日は、まず授業評価アンケートを実施してから、「マネの勝利」の続き、p.168の左側7行目まで、読みました。マネの「オランピア」をめぐるヴァレリーのテクストは読み応えがあります。首に巻かれた黒いビロードのひもが純粋な頭部と不純な肉体を分離しているとか、「ヴェスタル・ベスティアル(獣的な無垢の巫女)」というオクシモロン(矛盾語法)とか、表現がかなり凝っています。こうした相反する二つの要素(純粋と不純、処女性と獣性)があの「オランピア」のなかで同時に現前している様子を指してヴァレリーは、ボードレールの一句「薔薇色で黒い宝石」がロラ・ド・ヴァランスよりはむしろオランピアのほうにぴったりあてはまるようだ、と言っているように思われます。ボードレールとマネの親近性のあと、やはりマネと親交のあったゾラとマラルメの話題へと移っていくところで時間となってしまいました。この授業は来週で終わりです。このエッセーのラストp.169の最後まで、片づける予定ですので、どうぞ予習をよろしく。
 レポート情報の確認です。テーマは「文章作家と美術」、字数は3000字程度。提出は来週7月20日の授業時間または同日18時までに今井研究室入口ポストまで(締切厳守)とします。