今日は、「芸術についての考察」のp.72上から11行目まで、読みました。前回、ヴァレリーが「補色」(色の「補足」の現象)を取り上げる理由がもうひとつよくわからないと書きましたが、今日のところを読むと、その理由がはっきりします。ヴァレリーは補色という生理的な普遍現象をいわば基本的で単純なモデルとして、それを手がかりにしながら、芸術作品の生成についてあれこれ考えようとしています。長く続きすぎた感覚の「補足」として多様性が求められるとか、何もない空間・空虚はその「補足」として装飾をうむとか。「補足」がヴァレリー芸術論の比喩的な操作概念として重要な役割を振られていることがわかります。あと二回でp.78の12行目(ヴァレリーの話が終わるところ)まで片づける予定です。予習をどうぞよろしく。