今日は、まず17世紀のフランス文学史を概観した後、デカルトの『方法序説』を少しだけ紹介してみました。良識=理性は、すべての人間に、生まれながらにして平等に備わっている。大切なのは、それをよく導くことだ、とデカルトは言っています。『哲学原理』にも、理性の生得的な平等性が述べられていて、しかるべきかたちで導くならば、どんなに知の歩みが遅い人であっても、最高の知識を獲得できると書かれています。このような良識=理性のラディカルな平等性は、フランス革命の精神、人権の精神、フランス憲法のスローガンである自由・平等・博愛の「平等」原理のうちにしっかりと息づいているという意味で、フランス的普遍主義の見事なマニフェストになっているように思います。『方法序説』第二部の有名な四則も、私たちが論文を書いたり、実験をしたりするとき、ふつうに使っている方法ですが、改めて読んでみると、その堅固な普遍的妥当性がよくわかります。
 さて、来週のこの時間は、ボルドー第三大学のドミニック・ラバテ教授の講演会「窓は、開けるか もしくは 閉めねばならぬ ボードレールマラルメアポリネールにおける窓のモチーフ」(場所は2階大会議室)が行われます。情報科学研究科の森田直子先生による逐次通訳がつきます。貴重な機会を逃さないように、ぜひご参集ください。