今日は、ヴィヨンの『遺言詩集』から第39〜41節とそれに続く有名な「昔の美女たちのバラード」を読みました。ブラッサンスによるシャンソンもついでに聞きました。「バラード」の第二節には二つの伝説が歌われています。ひとつはアベラールとエロイーズの恋のお話(「宮せられて」をめぐる楽しい蘊蓄を一席)、もうひとつは「ネールの塔」を舞台にした色好みの王妃の「所業」と哲学青年ビュリダンの機転のお話(キーワードは「秣(まぐさ)」でした)。いずれも、パリの都市伝説に属する、ちょっとワサビのきいたエピソードです。中世のパリがヴィヨンの作品のなかに描かれていたこととの関係もあり、今日は特別に、「文学都市パリの構造」という、私が出前講義などの折に紹介している「紙芝居」(パワーポイントによるスライドショー)をお見せしました。城壁都市パリが少しずつ同心円状に拡大していく様子と、現代パリの大雑把な階層構造についてお話しました。興味を感じた方々には是非、実際にパリに赴いて、古いパリの痕跡を訪ね歩いていただければと思います。次回は16世紀のルネッサンス時代にワープして、ラブレーの豪快な世界に触れてみる予定です。では、また来週。