開講しました!

 今日は第一回。授業概要と成績評価の方法、今後の授業予定を説明してから、総論的な序論として、フランス文学史の方法や近代フランス語の整備などについて、プリントに基づいてざっと説明しました。この授業では中世から19世紀の初頭あたりまで、よく知られたテクストを紹介していきます。今日はさっそく、中世文学のおおまかな流れ(封建諸侯分立時代から中央集権化の時代へと変わっていくのを背景に、詩のジャンルが叙事詩から叙情詩へと変化していく流れ)を示したのち、中世初期の代表的な作品として、ちょうど第一回十字軍の頃に書かれたとされる武勲詩『ロランの歌』(岩波文庫・有永弘人訳)をとりあげ、勇将オリヴィエの死の場面を読みました。初期十字軍のキリスト教世界の代表としてのフランスという国威発揚的な文脈、封建時代の騎士貴族の理想、普遍的な人間感情としての友情の描写などいくつかのポイントをテクスト表現のうちに探ってみました。第150節の瀕死状態で眼の見えないオリヴィエが失神したロランの兜に一撃を加え、ロランが眼を覚まし、お互いを確かめ合ったのち、最後の別れを悟るシーンは悲壮ですが、実に劇的な名場面です。来週は中世後期の大叙情詩人ヴィヨンの作品を紹介します。興味のある方は是非ご参加ください。