今日は、ランベール版のp.159左頁上から2行目まで、読みました。今日のメインはp.158の自然の美をめぐる考察の部分です。まず、非美的経験と美的感動経験とを対比して一般的に述べたあと、ヴァレリーは、その具体例として、雑音と楽音の聴覚経験を対比して述べます。こうした堅固な構成といいますか、古典主義的な均斉をもった文体は、ヴァレリーのテクストのひとつの特徴です。個々の語彙は難解であったり抽象的であったりしますが、少し視野を広げて、かたまりとしてテクストを眺めてみると、同じような意味のことばが繰り返されていることに気づきます。今日読んだところでは、valeur accidentelleが、il arrive queの構文や、caprice, coincidence(このブログではアクサンは出ません)といった語彙と照応していることなどは比較的簡単にわかると思います。p.158右頁下で、「歌う」相貌や形や瞬間の話が出ていましたが、これは、昨年度の演習の時間に読んだ『ユーパリノス』を思い起こさせます。コローは、そうした自然の形や時が歌う歌に敏感だったとヴァレリーは語っていますが、p.159では、その話題がさらに展開されます。予習をよろしく。では、また来週。