開講しました!

 今日は第一回。前年度の続きの授業ですが、新しく受講される方々もおられるので、授業の概要説明(授業題目や成績評価の方法などの確認)に加えてヴァレリーという作家の生涯の要点紹介と前年度のレトロスペクティヴ(どんな関心に基づいてどんなテクストを読んできたかのまとめ)をざっと行いました。具体的には過去のブログ記事一覧から「ヴァレリーと美術」の授業項目をクリックして、ざあっと見ていただくのが手っとり早いですが、簡単にまとめると次の通りです。まずヴァレリーの芸術論の根本にある「見ること」論を青年期の評論『レオナルド・ダ・ヴィンチ方法序説』に基づいて解説したのち、ヴァレリーに根強くみられる古典主義美学(=現代芸術批判)の考え方をいくつかのエッセー(1928年の「パオロ・ヴェロネーゼのフレスコ画」、1935年の「イタリアの芸術」、1939年の「似ていることと芸術と」)を読みながら跡付けました。続いて、ヴァレリーと画家たちとの実際の交流をめぐって、特にアンリ・ルアールとの関係にスポットを当てて、印象主義の作家たちの絵をじっくりと眺めた経験について触れました。奥さんが印象派の女流画家ベルト・モリゾの姪であったことから、ヴァレリーはモリゾの師であったコローやマネの絵と親しみます。前年度はそうした具体的な作家論の例として1932年のエッセー「コローをめぐって」を読み始めたところで終りましたので、今年度はその続きを読むことから始めます。プリントを配りました。残り時間は前年度の授業で触れた絵画作品をざっと紹介しました。次回から読みに入ります。ランベール版のp.158の下から8行目から読み始め、一応、p.160の14行目あたりまで予習をしておいてください。そろりそろりとペースを上げていきます。よろしくお願いします。