今日は、1932年のヴァレリーのエッセー「コローをめぐって」の読みに戻り、ランベール版でp.155の右側下から8行目まで、読みました。ドラクロワとの対比が鮮やかです。効果理論に熱心で、見る者・聴く者・読む者を圧倒しようとするドラクロワ、ワグナー、ボードレールに対して、コローは、自分の感じるものへと私たちをいざなう、私たちに奴隷ではなく友達や同行者になることを願う、とヴァレリーはいいます。また、巨匠たちの手法は、あくまでも巨匠たちの手法であって、自分の方法とは違うのであり、彼らの手法を自分の役に立てようとしても、かえって、自分の邪魔になるだろう、とコローは考えます。ヴァレリーの文章は、コローのそうした奥ゆかしさとでもいったものを、実にうまく伝えているように思います。来週も続きを読みますので、予習をよろしく。
 授業のはじめに、レポート情報をお知らせしました。前期同様、レポートのテーマは「文章作家と美術」です。2000字程度(上限なし)。締め切りは2010年2月2日(火曜日)夕方5時頃とします。文学研究科棟8階今井研究室入口レターボックスに提出してください。前期に提出したものと同内容のものは受け付けません。力作を待っております。