今日は、前期の最終回でした。先週の続きで、「イタリアの芸術」のp.172の右側下まで読みました。終わりまで読むことはかないませんでしたが、ヴァレリーによる強烈な現代芸術批判が、見事なレトリックで展開されている山場の部分(p.172)だけはしっかり読むことができました。誇張法を用いた激しい物言いには、事態を一刀両断する切れ味の爽快さすら漂っています。しかし、1935年当時、このヴァレリーの文章は、どの程度まで、読む人々の心に届いたのか、となると微妙な話になるかもしれません。完璧と規律をうたう古典主義的モラルへの依拠は、ヴァレリーのなかで、どのように固まっていったのか、その立場からの同時代芸術への強烈な批判は、どのような反応を促したのか、などなど、いくつかの問いが、少しずつ、はっきりしてきました。今後は、そうした問題意識も持ちながら、様々なエッセーを読んでみたいと思います。後期(10月14日開講予定)は、まず、ランベールさんのテキストのp.130〜p.132を読み、ヴァレリーの同時代画家たちとの交流に、関心のポイントを置いていこうと考えております。それでは、皆さん、いい夏休みをお過ごしくださいますよう。
 追伸:レポートは、「文章作家と美術」について、3000字程度(上限なし)、来週7月29日(水曜日)締切、8階今井研究室入口レターボックスに提出、です。7月1日のブログに既に案内を出していますが、直前の最終確認でした。力作を待っております。