今日は、ランベールさんの紹介文を参考にしながら、ヴァレリーの若い頃の絵画体験を語るテクストをいくつか紹介してみました。ひとつは、1938年発表の「モンペリエ美術館」という短いエッセイです。様々な作家・作品のうち、「特別親しい付き合い」ができたものとして紹介されている、スルバランの「聖女アガート」と、ブリュイヤス・コレクションについての記述に注目して、二枚の絵(「聖女アガート」とクールベの「クールベさん、こんにちは」)をめぐってお話しました。これに関連して、もうひとつ、1892年発表の「絵画注釈」からスルバランの「聖女アガート」をめぐるヴァレリー散文詩を読んでみました。絵と詩を並べてみると、絵画と散文詩のコラボレーションとして、なかなか面白いですね。それにしても、ヴァレリーはなぜ、「アガート」を「アレクサンドリーヌ」としたままだったのでしょうか……。来週は、「パオロ・ヴェロネーゼのフレスコ画」を読みます。余裕があれば、「イタリアの芸術」(pp.170-173)にも眼を通しておいてくだされば幸いです。