今日は、第47番「マドモワゼル・ビストゥーリ」を最後まで読み終えました。最初に、アンテルテクストと考えられるアドリアンマルクスによる1866年1月30日付けの記事「ビストゥーリおばさん」のテクスト全文をざっとですが紹介しました。こういうモデルが一応は存在したわけですね。しかし、ボードレールは、おそらくはそうした現実のモデルを少しばかりは参照しつつも、それを大幅にデフォルメし、より一層リアルな、独立した散文詩の世界を作り上げているように感じます。物語の構図は、医者マニアの精神病患者としての「ビストゥーリ嬢」と精神科医としての役どころを振られた「私」の、クリニック的会話という形ですが、面白いのは、「私」もまた、「私の固定観念」に執拗に従うことによって、言わば、「ビストゥーリ嬢」と「私」が、(神様の面前では)対等の関係になっているように思われる点です。ところで、このテクストで描かれているビストゥーリ嬢の性癖について、プロの精神科医は、どんな診断を下すのでしょうか、ちょっと気になりますね(そうした研究があったら、是非、読んでみたいと思います)。来週は、第49番のテクスト「貧民を撲り倒そう」を読みます。予習をよろしく。それと、授業の終わりに、成績評価のことに触れましたが、ある程度出席をして訳読発表をしていれば単位的には問題なしです。前期同様、プラスアルファを目指す方は、1月30日(金曜日)夕方5時締切で、『パリの憂鬱』についてのレポート(論題自由)を2000字程度で書いて、提出してください(提出は任意です。また、実際にプラスアルファになるか否かは、もちろんレポートの内容次第である点、あらかじめ御了解ください)。