今日も引き続き「海辺の墓地」です。第20詩節と第21詩節の読み、ローラーさんの注釈の読みをやりました。第21詩節のラストの部分は、「大またに走って動かないアキレウスだなんて!」そんな変な詭弁はやめてちょうだい、といったニュアンスがあるように感じました。生きることを象徴する「虫(「蛆虫」とするとちょっとキツイのでシンプルに「虫」にしときましょう)」はほとんど私の思考そのものになりますが、そのような思考が自家中毒を起こすと、ゼノンのパラドックスのように運動を不動と言いくるめる観念遊戯に陥り、肝心の身体がおろそかにされてしまいます。思考は大事だけれども、止まってはいかんので、動かねばならない。動くものの最高の比喩は身体です。身体の運動を開放すること。最後の四つの詩節のメインテーマはこれだろうと思います。さあ、少しずつゴールに近づいてきました。受講生の方々はいずれも修士論文の執筆に忙しいのですが、なんとか、この授業にもお付き合いいただきたいと思います。では、また来週。