今日は先週に引き続き、パトリック・モディアノのテクストを読みました。まず『暗いブティック通り』の第24章のおさらいをしてから、続く第25章をゆっくりと読みました。訳書p.175からp.176の部分に顕著なように、通り(Rue/Boulevard/Avenue)の名前は、効果的な記号として見事な存在感を発揮しているように感じます。これは、舞台となる街がパリであってもニースであっても変わりません。授業では、続けて、『八月の日曜日』(堀江敏幸訳、水声社、2003年)から、「幸福だったはかないひとときの」痕跡としての「写真」が語られる箇所、ニースのシミエ通りを下ってきた二人が交わす会話の部分(「夢のなかにいるような気がしないか?」「いつかは眼が覚めるとでも思っているの?」)をゆっくりと読んでいるうちに、時間が来てしまいました。サスペンスとリリスムを併せ持ったモディアノの文章は魅力的ですね。きょう紹介できなかった部分はまた来週に読みたいと思います。