開講しました

 あっという間に「夏休み」が終わり、新学期に突入です。前期は20世紀前半の作品をいくつか読みましたが、後期は20世紀後半の作品をいくつか読んでいく予定です。前期と同様、授業は、具体的なテクストを紹介して、ひたすら私が話をするというスタイルで行くと思います。あらかじめ、スケジュール表を配れればよいのですが、今回は、その余裕がありません。大雑把ですが、ジュネ、デュラス、モディアノ、クンデラといった作家の作品を取り上げていくことになりそうですが、確実なことは言えません(その点、あらかじめ御容赦願います)。私自身が関心を寄せているテーマとして、しばらく前から、「パリと文学」(「文学都市パリ」でも「パリ文学散歩」でも同じようなことです)というのがあります。前期も少しその色合いはあったと思うのですが、後期も、このテーマがところどころ出てくるかもしれません。さっそく、オープニングの今日は、カミュの『転落』(1956)から、パリの橋をめぐる思い出(あるいは告白)の部分を二箇所取り上げて、地図を参照しながら「文学散歩」を試みました。ポン=デザールの上で聞こえた「笑い声」が「あたかも川を下っていくようにcomme s'il[=le rire] descendait le fleuve」聞こえたとありますが、これは、かつての、ポン=ロワイヤルの上から身投げした女の「叫び声」が「川を下っていったun cri [...] qui descendait lui aussi le fleuve」という表現と完全に対応しているという細部に気づくことができました(収穫です!)。少しずつエンジンの回転を上げていきます。今期もどうぞよろしく。