今日はサン=テグジュペリの小説『夜間飛行』の一部と、自伝的・エッセイ的小説『人間の大地』第7章「砂漠のただなかで」の一部を読んでみました。後者では特に、砂に穴を掘って、そこに身を横たえ、砂でからだを覆い、顔だけ外に出しながら「静かな夢想」にふけるシーンが印象的でした。「渇き」が重大なテーマですが、その苦しみの中でも「生きること」への希望をつなぎ、自らの職業への自負、生きるモラルが述べられます。このあたりの記述の端々に「星の王子さま」的テーマが垣間見られるような感じがします。最後には、ベドウィンに救われて、水を飲みまくり、生き返って、「水」賛歌がなされます。サン=テグジュペリが実際に経験したリビア砂漠不時着事故、数日間飲まず食わずで砂漠を彷徨し、「水」への「渇き」に苦しんだ極限的なこの体験は、やがて、「星の王子さま」の忘れがたいセリフのひとつ――「砂漠がきれいなのは、どこかに井戸を隠しているからなんだよ……」――へと結晶化し、永遠に、読者のこころを打つことになるでしょう。というわけで、来週は『星の王子さま』について話をします。