今日はコレットの『シェリ』(1920年)を読みました。感覚に訴える繊細な表現が見事です。特に、素晴らしい飲み物や美味しそうな食べ物が描かれた場面、息を大きく吸い込む場面が、全編にわたって散りばめられた薔薇色のトーンと合わせて、とても官能的でした。個人的には、ラスト近くの別れの朝のシーン、「はい、二つめのパン、シェリ……」「もういいよ、ヌヌーン」「もうお腹いっぱい?」「うん、いっぱい」――この箇所が哀切で、好きです。フランス語の勉強をしている皆さんには是非、今日お配りした原文と訳文(岩波文庫の工藤庸子訳)を、じっくり味わっていただきたいと思います。そして、気に入った部分は何度も声に出して読んで、暗誦するくらいに読み込んでみてください。さて、次週は、『シェリ』を激賞したジッドの「純粋小説」『贋金つくり』を紹介します。今後の見通しとしては、ジッドのあと、アポリネールブルトン、マルロー、セリーヌサン=テグジュペリの作品を見ていく予定です。今日の『シェリ』については、読んだ方が6名ほどおられました。実際に読んでみること、これが一番大事です。有志の方々には、今後、実際に作品を読んでみて、特に気に入ったところや考えさせられたところなど、ほんの少しでもかまいませんので、お話を聞かせていただければ嬉しい限りです。