今日はp.64の下から4行目まで読みました。バルトはチョムスキー生成文法に依拠しながら論を進めているようです。p.63の下で、「言語能力」に対応して、おそらく人間には「文学能力」があり、それは「天才」とか「霊感」とかとは何の関係もなく、作者という個人を超えて蓄積された法則を持っている、という部分、そして、p.64で、「文学の科学」によって「作者」が犠牲になるのではないかという大方の懸念に触れて、作品の意味を決定するのは著者だとする人々の偏向を述べる部分(「人は是が非でも死者に語らせようとする、あるいは、その代理、その時代、ジャンル、語彙、要するに作者と同時代のものすべてに。これらは、過去の作家の創作権の換喩的な保有者なのだ」)は、とても面白いと思いました。去年の授業で付随的に読んだ「作者の死」と、このあたりの議論を結んでみると、バルトの目指すところがより一層はっきりするように思われます。今日は4ページ弱進みました。今後も大体このペースで進みたいと思います(したがって次回はp.68の終わりまで読みます)ので、担当の方は準備をどうぞよろしく。