第九回18世紀概観(1)

セーシェル(マヘ島クレオール研究所)

 まず年表をもとに18世紀の流れをざっと概観したあと、ヴォルテールの『カンディード』、ディドロの『ダランベールの夢』、そして、少し遡って16世紀のロンサール恋愛詩について、それぞれ発表していただきました。特にNさんの『カンディード』についての発表は、10分間発表の枠が吹っ飛ぶような、力の籠もったものでした。いろいろ調べていくと、問題意識が広がり深まっていく、問題意識が広がり深まっていくから、ますます調べることになる、という、生き生きした「研究」の息遣いが感じられました。また、『ダランベールの夢』についての発表でYさんも触れていた中川久定(なかがわひさやす)先生は、こんなふうに言っています。「『ダランベールの夢』という作品は、全宇宙的規模で、日々生起しているあらゆる個体間の「結合と分解」―すなわち新しい個体の誕生と古い個体の死―をめぐるディドロ的夢想を紡ぎ出したものである。ただしディドロの関心は特に「結合」の方に向けられている」(岩波書店『思想』1984年10月号p.56より)。含蓄に富んだお言葉です。いろいろな印象や感想やアイデアがどんどん「結合」して、何かしら面白いイメージや構想が生まれてくる、そんな勉強や研究が出来たら楽しいだろうなあ、と思います。そのためには、或る程度の勤勉さが必要で、とりあえずは、ラストシーンでカンディードが言うように、「とにかく、わたしたちの庭を耕さなければなりません」(mais il faut cultiver notre jardin)、と呟いてみなければなりません。
 さて、次回は、18世紀の(2)、主にルソーを読みます。発表担当の方は、どうぞよろしく。それと、レポート課題についてお知らせする予定です。