最終回の今日は、無事「マネの勝利」のテクストを最後まで読み終えることができました。マネによるベルト・モリゾ肖像画が「詩」であることを、ヴァレリーは音楽に関係する単語を多用しながら、説明していきます。注目したいのは、調和ばかりでなく不協和によっても作品が響いていること、モリゾという独特の人物の魅力にふさわしい独自の和音が、当時流行の髪型という取るに足りない儚いものとこの顔の表情にある何かしらかなり悲劇的なものという二つの要素の対立から生まれているという指摘です。詩と絵画のレゾナンスについては、同じ頃に書かれた評論「コローをめぐって」にも展開が見られるので、こちらを熟読する必要がありそうです。それはまた来年度の楽しみといたしましょう。比較的時間がある春休みのあいだに、ゆっくりと関心のあるテーマについての勉強を進めてくださることを願っております。