今日は、テオフィル・ゴーチエの『青春の回想―ロマン主義の歴史―』(1874年)から有名な「エルナニの合戦」(1830年)の思い出を語った部分をじっくりと読みました。詩句の在り方をめぐって激しく繰り広げられたこの古典主義とロマン主義の戦いはフランス文学史上でも特筆に値するひとつの文化史的分水嶺を画する象徴的事件と言えるでしょう。古典主義にあってロマン主義的な「ポエジーの開け」を示す例外的な事例としてゴーチエの挙げている二つの例が、ひとつはコルネイユのオクシモロン、もうひとつはモリエールの日常的な描写文であったことは示唆的です。いずれもピトレスクな表現であり、ロマン主義的な風景の一場面でした。では、また来週。