今日は、第14段落の終わり(p.129の2行目)まで、読みました。大半の人は目ではなく脳でものを見る、で始まる一節です。「観ること」の在り方を否定的側面から論じることで肯定的側面を浮き彫りにする論法です。「海は眺めの奥で立っている」という表現はのちの「海辺の墓地」の冒頭の「鳩が歩むこの静かな屋根」へと受け継がれます。ヴァレリーの「網膜」の詩学がのびのびと展開されたこの箇所には感覚の解放感/開放感がみなぎっているようです。では、また来週。