今日は、「蛇の素描」のラスト(310行目)まで、読み終えました。イヴ誘惑の思い出語りが終わり、再び冒頭の時間と状況に戻ります。第28詩節と第29詩節における大樹のイメージは上昇・成長のイメージそのものです。第30詩節の後半では、蛇の負けん気ぶりというか、「認識の木」に対するライバル意識が感じられます。イヴの誘惑に成功し、神への復讐を成し遂げたと思われる蛇=悪魔ですが、どうもぱっとしない様子なのは、現在の無為無聊に耐えられないからかもしれません。ところで、最後から三行目におけるteとは誰を指すのでしょうか。蛇か人間か……。無を有に上昇させたというのは、ひょっとして、詩人がこの詩を作ったという事実を指すのでしょうか。禅問答のようなラスト三行の味わいは謎めいていますが、解釈を急ぐのはやめにしておきましょう。授業自体は本日で終了とします。それでは力作レポートを待っています。