今日は、1930年に付された註の続きで、p.464の2〜3行目あたりまで、読みました。ヴァレリーは時々、ne〜rien qui ne…「…でないような何物も〜ない」という一種の誇張法を使います。たとえば、「このテクストからほとんど不可避的に導きだされないような何物も読者に提示するつもりはなかった」とか、「パスカルは彼にとっての毒をそこから引き出すことができないような何物も世界の中に見出さない」とか。こうした誇張法は、文体的には、皮肉っぽい言い回しとして効果を持ちます。その一方で、「Des Cartes」への「激しい嫉妬心」や「自己愛」といった直接的な物言いは、かなり挑発的な言い方かもしれません。パスカル神話の解体を目指そうとしたヴァレリーは、「抵抗勢力」からの圧力を相当受けたようです。では、また来週。