今日は、16世紀の三回目として、モンテーニュの『エセー』第1巻第26章「子供の教育について」を紹介しました。これを選んだのは、原二郎先生の著書にも紹介されていたように、ジョン・ロックジャン=ジャック・ルソーの教育論にも大きな影響を与えた古典的名文だから、というのが理由です。読んでみると、やはり、ラブレーのところでもみられた「自由意思」つまり「判断力」を重視する人間論(教育論はそのまま人間論になります)がモンテーニュにおいても明らかです。「よくつまった頭よりは、むしろ、よく出来た頭」を、「知識よりは判断力」を。こうした判断力重視とあわせて、コスモポリタン的な相対的思考もモンテーニュの人間論・教育論の特徴でしたね。人々との交際や外国旅行の重要性について、「われわれの脳みそを他人のそれにこすり合わせ、磨く」ためであると語られていました。それと、食人種を野蛮というなら、宗教の名の下に殺し合いをするわれわれのほうがもっと野蛮だというところなど、モンテーニュの相対的思考はとてもしなやかです。来週は17世紀に入ります。デカルトを読みます。